子供のデジタル生活について(4/4)
だれしも未成年の頃を振り返ってみて、いたずらに過保護なものは、いかにも子供扱いされているようで「ださい」と感じるものです。

当社の考えでは、ペアレンタルコントロールを目的にしたフィルターなどはこうした過保護な試みであるとみなす一方、たとえば粉塵の舞い散る地域ではマスクしないと肺を汚しますし、放射能で汚染された区域では防護服にガスマスクを着用しないと誰でも健康被害を生じます。どちらかといえば現在のデジタル空間はこうした環境の汚染に近い状態であって、未来の人類が歴史を振り返ったとき「21世紀の最初の20年は、情報の過剰摂取がもたらす精神依存について驚くほど無関心であった」と評され、その一例として「スマホで動画見放題」といったコマーシャルが、当時の珍奇な宣伝文句として紹介されるのではないかと思います。
この意味でスマホ依存について世代差を意識する場合、単に「大人はもう手遅れ」というべきです。「1本でも吸ったらリセットされる」ことが禁煙の難しさとして語られるように、基本的にはひとたび依存を引き起こす報酬回路の強化が行われてしまえば、今後は脳にスマホ依存の傾向が刻み込まれた状態で生きていくことになります。
翻ってこれからの世代に対しては、小さい頃から「インターネットをするときは防護服をつけて過度な情報の摂取から身を守りなさい、ガスマスクをつけて本来やるべきことだけに集中できるように工夫しなさい」などと繰り返し教育していくことで、生活倫理としてインターネットに対する警戒感が育まれていくと思います。

さて当社の責務は、意見を表明することにとどまらず、具体的なプロダクトを通して社会に働きかけることです。そのため以下の点で意見を募集しています。

問い1、どのようなコンテンツがあれば、実際に親が子にインターネットの実情を伝え、理解を深めるきっかけを作れると思うか。ここでコンテンツとは、アプリ、絵本、教本、音楽、キャラクターなど全く限定しません。

あるいは、

問い2、インターネット・スマホへのめり込みつつある子どもに対して、どのような状況で、どのような言葉が伝わったか。

テクノロジーの発展は常に無軌道で、人の生活を顧みません。そのため「どうあるべきか」についての倫理に関する議論は後追いになりがちです。当社では主に、デジタル依存・スマホ依存を問題視する立場から、テクノロジーとバランスする生活倫理の設計と浸透も事業範囲であると考えています。実体験にもとづく貴重なご意見をいただければ幸いです。

contact@digitaidetox.co.jp